日本の城のはてなブログ

知恵をしぼった堀の工夫

大きな堀

城に興味を持ち始めたら、有名どころじゃなくても、
近くにある城跡が気になってくるんですよね。

でも、看板はあっても、櫓(やぐら)や建物が
再現されてない城跡も多く
て、期待に反して
『ガッカリした』なんて経験ありませんか?

でも、ちょっと待ってください。

櫓や塀といった建物はなくとも、築城に欠かせない、
ある遺構が残ってることがあるんです。

目立たないけど、城造りには欠かせない設備なんです。

城づくりに欠かせない、遺構とは

城といえば、一番に目につくのが天守、次に櫓や石垣、
塀といった建造物ですよね。

きれいに整えられていたりすると、
美的感覚も刺激されて魅了されますね。

ところが、見落としがちで、観光にはちょっとじゃまな、
でも、城づくりにには欠かせない、
文字通り泥臭い仕事をしてくれる設備に
目をむけてみましょう。

それが『堀』です。

城址となって建物が無くても、
遺構として残っている場合もありますね。

掘れば完成する防御設備なので、昔から存在する設備です。

その堀には、いろんな種類があります。

堀の種類と役割

まず、堀には、次の二通りあります。

・水を引き入れた「水堀」
・水などを入れない「空堀

水堀は、水が無いと作れないこともあり、
比較的平坦な場所に造られる”平城””平山城”
呼ばれる形式の城に造られた堀ですね。

高松城や広島城、江戸城など、
けっこう色んな城に水堀があります。

空堀は、種類が豊富で、造る場所によって
”堀切”と”竪(たて)堀”、”横堀”に分けられました。

堀切は山の尾根を仕切るように切ったもので、
堀の端がありません。

竪堀は、標高のある山頂に造られた山城で使われ、
山の傾斜に対して、たて方向に堀を切ったものです。

たてに掘ることで、横方向の移動をさまたげて、
弓矢や落石などの攻撃を仕掛けるための設備です。

横堀は、城に対して横方向に掘られるもので、
平城や平山城でよく見られる堀になります。

横堀は次のように使われます。
・進行を止める。
・分断する。
・進行方向の選択肢を狭める
・追い落として落とし穴の変わりにする

堀は、ただ堀っただけじゃなく、
形状にも工夫があります。

断面を横から見たときに、
・箱型になる箱掘
・U字になる毛抜きの形をした毛抜堀
・V字になる薬研の形をした薬研掘
・片方が急で、片方が緩やかなレの字になる片薬研堀

と、場所や用途によって使い分けていたんです。

掘りの底にも、さらに工夫が凝らされました。
・底を縦・横両方向に土塁を設けた障子堀(しょうじぼり)
・城に向かって縦方向に土塁を設けた畝掘(うねぼり)

もし堀がなかったら、敵はすんなりと城に到達し、
塀に梯子をかけ、または引き倒して乗り越えて
来てしまうんです。

そう考えたら、とっても重要な施設だってこと、
わかりますよね。

まとめ

堀は原始的だけど、とっても重要な設備で、
古くから使われていました。

造るのは簡単でも、あるのと無いのとでは防御力に
雲泥の差
が出来てしまいます。

城址に行って建物はなくても、堀の有無や
形状を見てみると、先人の知恵を
感じられるかもしれませんね。

静岡県三島市にある、山中城には、
堀の遺構が良好な状態で整備されています。

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