佐賀県唐津市の、玄界灘は唐津湾に面した場所に、
唐津城はあります。
肥前・名護屋城からの距離は約17km、
車で30~40分ほどの位置にあり、
名護屋城の背後を守る役目もありました。
名護屋城が廃城になった後に、
近代城郭として整備された城です。
整備のとき、諸大名の協力の元で行われていて、
重要な拠点だったことがうかがわれます。
近世城郭は、交通の便や居住性の良い場所に
作られたため、明治以降は市街地化が激しく、
残される遺構も少なくなりがちです。
唐津城もまた、二の丸、三の丸の市街地化が
進んでいます。
そんな唐津城の見どころは、
どこに残されているでしょうか?
海に面した大胆な縄張り
唐津城の魅力は、なんといっても海城である点。
現在、海側は砂が入っていますが、
直接玄界灘の海水が石垣を洗う、珍しい城です。
本丸の東側は、松浦川の河口があり、
天然の堀としました。
そのため、西側に二の丸、三の丸を配置する
連郭式の縄張りを持っています。
今は本丸の東側にある河口ですが、
築城前は西側にありました。
”満島山”と呼ばれる本丸部分を、西側の陸地と
つなげるため、河口を東側に通す治水工事が
行われました。
こうすることで、城内に高地を設け、
防御しやすくしています。
切り離した東側には石垣を組み、松を植え、
防風林を作ることで、河口に良好な港を確保し、
町の発展につなげることも行われました。
”虹の松原”と呼ばれる、景勝地になっています。
この、虹の松原を含めたイメージから、
”舞鶴城”という別名も持ちます。
市街地化が進む三の丸では、外郭に沿って、
ところどころ石垣が残っています。
分かりやすいのは、大手門跡に建つ唐津市役所に残る
石垣で、打込み接ぎの石垣を見ることができます。
また、二の丸と三の丸の境は水掘になっていて、
ここにも石垣が残ります。
街並みを眺めながら、市中散策するのも良いでしょう。
ちなみに、JR唐津駅から市役所にかけて、
城下町となっていた場所で、米屋町、呉服町、刀町など、
地名に名残が残ります。
また、地図をみると、
JRの線路に沿って水路が設けられています。
これは、かつての町の境界線と思われ、
町を囲む、総構えの名残ともいえるでしょう。
そうした史跡を散策する楽しみが残されています。
ロケーションに恵まれた本丸
唐津城の本丸は、周りを水に囲まれているため、
とても見晴しの良い場所にあります。
遠くから見ても、遮るものがないため、
天守がとても見栄えよく見えますし、
反対に、天守最上階の展望台からの眺めも良く、
唐津市はもとより、松浦川の対岸や
唐津湾を望むことができます。
唐津城は肥前・名護屋城の建物を
一部移築したといわれていますが、
天守が建てられた事実は確認されていません。
この天守は、昭和になってから建てられた模擬天守で、
多くの鉄筋造りの天守に漏れず、資料館になっています。
天守が建てられている本丸までは、階段を上りますが、
エレベーターも設置されているので、
足が悪い方でも本丸まで登ることができるのが、
唐津城のポイントですね。
夜になると、模擬天守はライトアップされます。
松浦川の対岸からでもよく見えるので、
宿泊する際には、夜の唐津城を堪能するのもいいですね。
まとめ
唐津城の見どころとして大きく2あります。
一つは、市街地化されながらも、所々に残る石垣の跡。
城の規模を知るのに十分残っています。
地図を片手に、散策するのも楽しみ方の一つですね。
市役所前や二の丸の水堀といった場所に、
良好な状態で残されています。
本丸と地続きだった、「虹の松原」も、
景勝地として外せない場所です。
もう一つは、模擬天守。
海城という好立地な城なので、
周りから天守が良く見えますし、
天守展望台からの眺めは最高です。
そのロケーションの良さを活かしたライトアップも、
唐津城の楽しみの一つです。
本来なら建っていなかった天守を、
現代の思惑で造ったものなので賛否はありますが、
これもまた、城との共存の形なのかもしれません。