大城郭を築いた幕府の城・鎌倉

朝比奈切通し

城を築くとき、出来るだけ地形を活かせる場所
造ることはよく御存じでしょう。

そのほうが手間はかかりませんよね。

山城の造りは典型的で、高さがあれば守りやすく、
崖や尾根を利用すれば、手間が少なく短時間で、
堅牢な城を築城することができます。

そうした、利用しやすい場所が
自然に備わっている場所を、
”天然の要害”といいますが、まさに天然の要害で
守られた場所に本拠地を置いた武将がいました。

武将の名は源頼朝、鎌倉幕府初代将軍で、
ご存じのとおり、鎌倉がその城です。

天然の地形を利用した塀と堀

頼朝が、鎌倉の地を本拠地にしたのは、
河内源氏の東国拠点でもあり、力添えのあった、
千葉氏の進言もあったからだといわれています。

鎌倉の地は三方を山に囲まれ、南側が海になっています。
この山は、尾根が一続きになって海にまで達していて、
険しい崖になっていました。

そのため、尾根を削って作る”切通し”を7か所に通し、
門を設置して守りを固めました。

現在もいくつかの切通しは、
自動車が通れる道路になっていますね。

鎌倉は、この尾根を土塁や塀に見立て、
海を掘とした、巨大な城郭ともいえる場所です。

鎌倉は守りに堅い城ではあるのですが、
難点は平地が少ないことにあります。

それがどんな問題になるのかというと、”食糧”です。

しかも、幕府の本拠地なので、
御家人やら郎党が住みますね。

市場も建って、町として発展するでしょう。
人が多くなれば食糧がたくさん必要になりますが、
田畑にする場所も少ない。

目の前に海はあるものの、
お米(雑穀?)を食べたいのは
昔の人も同じだったでしょう。

そうなると、城郭の外から調達しなければなりません。

この時代はまだ荘園制度ですし、
当然場外から運び込む必要があります。

でも、切通しを通っての物資の運搬は重労働。

そこで、鎌倉の南東に位置する
”和賀江島”付近を埋め立て、港を造りました。

鎌倉の海は砂浜で、遠浅なため、大きな船は入れません。

そこで、港の増設にはたくさんの石を使い、
ある程度の深さを確保したようです。

この港は、最古の人口港といわれています。

こうした、天然の要害で堅い守りの鎌倉も、
いずれ破られる運命にありました。

難攻不落の城、鎌倉城の終焉

鎌倉幕府は、将軍がわずか3代しか続きませんでしたが、
執権として権力を握った、
北条氏が幕府を存続させていました。

ところが北条氏は、自分のライバルになりそうな
有力な御家人を蹴落としたため、
不満を募らせる武士が多くなってきます。

鎌倉時代末期には、幕府追討の動きもあり、
新田義貞(にったよしさだ)らが挙兵します。

鎌倉周辺を上空から眺めると、
東側は山が連なっていて攻めづらく、西は比較的、
平地が多いので攻めやすくなっています。

それに、東側の朝比奈切通を攻略しても、
中央部まで遠く、杉本城のあたりは山が迫っていて、
攻め切るには厳しい地形です。

必然的に西側から攻めることになります。

義貞軍は、八幡宮から北にあった「巨福呂坂切通し」、
北西側の「化粧坂切通し」西側の海に近い
「極楽寺坂切通し」の3か所に攻撃を仕掛けています。

しかし、切通しの守りは堅く、
なかなか市街に入る事はできません。

そこで、急峻な崖になっている
稲村ケ崎付近から突破を試みます。

稲村ケ崎も急峻な崖で、簡単には通れません。

北条氏側も、海に船を出し、
海岸線からの侵入に対して守りを固めていました。

しかし、多勢に無勢。

義貞軍は、海岸越えや山越えなどを駆使し、
ようやくの事で鎌倉城内へ入る事に成功しました。

由比ガ浜では、北条氏側が抵抗を試みますが、
激戦の末に義貞側が勝利を収め、北条氏は壊滅。

鎌倉幕府は滅亡します。

鎌倉は、市街に防塁などありませんので、
中に入られると守ることは難しかったようですね。

まとめ

鎌倉は、日本史上まれみにる、巨大な城郭でした。

街を取り囲む山の尾根を利用し、海にも開けた、
天然の要害です。

鎌倉幕府を開いた、源頼朝は、
河内源氏の東国の拠点であるこの地を、
本拠地として選び、街を発展させました。

海に、最古の人口港をつくり、
物資流通にも申し分ない場所でした。

しかし、守りの堅い城も、破られる時がきます。

新田義貞率いる反幕府軍は、
稲村ケ崎付近から城内に侵入し、
鎌倉幕府を動かしていた北条氏を滅亡させました。

一旦入り込まれてしまうと、勝敗が決してしまう、
鎌倉はそんな城でもありました。

それ以降、鎌倉は城郭の拠点として
利用されなくなっていきます。

ちなみに、鎌倉を超える大きさを持つ城郭は、
江戸城など、国家事業級の城があります。

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