ガッチリと組んだ石垣に、幾層もの櫓が建つ城でも、
山頂に建つ堅牢な山城にも、城には弱点があります。
そこを攻め取られると、もうやられたも同然。
城の弱点わかりますか?
それは”虎口(こぐち)”と呼ばれる”出入り口”です。
出入り口を抑えられると、
自由に攻め込まれてしまうから、
まあ、当然といえば当然ですね。
だからこそ、入り口を守るために
工夫が凝らされてきました。
虎口を守るために、どんな工夫がされたのでしょうか?
入り口を守るため、堅牢になった門
虎口の守りは、2通りの工夫がなされています。
門の強化と、虎口の形状の工夫です。
門は、それ自体で敵の侵入を食い止めるので、
堅牢になるよう改良されていきました。
門の形はよって、次のような呼び方をします。
1.塀重門(へいじゅうもん)
2.冠木門 (かぶきもん)
3.棟門(むなもん)
4.薬医門(やくいもん)
5.高麗門(こうらいもん)
6.櫓門(やぐらもん)
7.長屋門(ながやもん)
8.埋門(うずみもん)
塀重門は、門を取り付ける柱(鏡柱)を建て、
直接扉を付けたもので、単純な造りになります。
冠木門は、塀重門の鏡柱の間に木を渡し、
強度を高めました。柱に渡した木を冠木(かぶき)
といいます。
このふたつの門は比較的古い形の門です。
平安時代には、冠木門の上に矢倉を乗せ、
上方から矢を射かける工夫もあったようです。
棟門は、冠木門の上に屋根を付けた門で、
雨水などで門が腐らないよう工夫がされました。
薬医門は、鏡柱から、内側に数十センチの間隔を
開けて控え柱を建て、控え柱と、
鏡柱の間に木を渡して連結させた門です。
棟門と同様に屋根があり、控え柱までを覆う、
大きな屋根がつきました。
高麗門は、薬医門の屋根を、棟門程度の大きさにし、
雨ざらしになってしまう、控柱との横木の上にも、
屋根を付けた形になります。
薬医門や高麗門は、装飾性が高いため、
格式のある門として使われました。
櫓門は、石垣や土塁に挟まれた場所に門を設置し、
多門櫓(たもんやぐら)といわれる長屋状の
櫓を設置して、防御力を高めたものです。
まさに、”城の門”を感じさせる門です。
後に説明する枡形虎口(ますがたこぐち)との
組み合わせで、効果を発揮しました。
長屋門は、警護に就く兵などが駐留する長屋に、
城門を付けたもので、緊急時の対応が早いことが
特徴です。
埋門は、虎口ではなく、石垣などに埋め込むように
設置された門です。
城主の抜け道や、城内に入り込んだ
敵の後ろに回り込むために使用され、
通常は使用されませんでした。
門と一言でいっても、より頑丈であったり、
反撃するための工夫をして発達していった様子が
分かります。
門の侵攻を敵を食い止めることが目的です。
その効果を利用して、
虎口にも工夫がされるようになります。
敵の戦意を失わせる枡形虎口
枡形虎口(ますがたこぐち)とは、
門を抜けた先に設けられる、方形(枡形)の区画です。
枡形虎口に入ると、通常は横方向に
一つ以上の門が設置され、
三方または四方向ともに壁や櫓で囲まれています。
先に進むには門を開ける必要がありますが、
その間に三方向以上から攻撃を受けるので、
大きな被害が予想されます。
物理的なダメージもそうですが、
予想される被害を考えると、
精神的なダメージも相当なものだと思います。
そうした堅固な虎口を造ることで、
城の弱点ともいうべき虎口への攻撃を、
断念させようとしたんでしょう。
枡形には、城の稜線(りょうせん)から
飛び出すように設けられる、
「外枡形」と、内側に設けられる、
「内枡形」に分けられます。
どちらも使い方に違いはなく、
出っ張っているか、そうでないかの違いです。
まとめ
堅牢に造られた城にとって、
弱点となるのが”虎口(こぐち)”
と呼ばれる出入り口です。
ここを落とされたら、
自由に出入りさせてしまうので、
必死にもなりますよね。
門を設置して侵入を阻み、
時代と共に、門が破られないよう
進化していきます。
門の進化と共に、虎口での工夫もなされます。
枡形虎口の登場です。
枡形虎口と櫓門の組み合わせで、
敵の足を止め、容易に攻められないようになりました。
近世城郭には、必ずと言っていいほど、
備えられる組み合わせとなりました。