石垣には表情がある いろんな積み方の特徴

切込み接ぎの算木積み
よーく見ると気付いてしまう、石垣の違い。

加工された石を使って、
「よくこんなふうに積んだよな」って思う
石垣ってありますよね。

櫓や塀などと違って、朽ちることない石垣だから、
当時の様子が一番よくわかるのが
石垣なんじゃないかと思います。

石の加工のていどの違いについては、
別ページにしましたので、今回は加工石の
積み方の違いについての話です。

加工石の積み方

加工石の積み方は、打込み接ぎ(うちこみはぎ)と、
切り込み接ぎ(きりこみはぎ)に分けられます。

打込み接ぎは、切り出した石をタガネなどで打込み
角を処理した(打込み)石で積む方法、

切り込み接ぎは、切り出した石を石切りノミ
表面を仕上げた、(切り込み)石で積む方法のことです。

自然石を使った野面積み(のづらづみ)とは違い、
加工することで整然と積むことができることから、
積み方にも変化が現れます。

・布積み(ぬのづみ)または整層積み(せいそうづみ)
・乱積み(らんづみ)

布積みは別名”整層積み”とも言い、
石の目(境界部分)が横に通った積み方です。

レンガを想像してもらうとわかりやすいですね。
目が通っているので、横方向の力に弱いのが難点です。

乱積みは、目が通らないように組み合わせて
積み上げた方法で、横方向の力にも強い積み方です。

加工した石の場合、方形や六角形に加工した石を
組んでいきます。

自然石を利用した野面積みも、乱積みの一種ですね。

外観によって呼び名が変わる乱積み

乱積みには外観によって、4種類に分けられます。

・算木積み(さんづみ)
・谷積み(たにづみ)
・亀甲積み(きっこうづみ)
・笑い積み(わらいづみ)

(他に玉石を使った玉石積みがありますが、
自然石を使うので、野面積みの1種とし、
ここでは省きます)

・算木積み(さんぎづみ)
算木積みは、石垣の角にみられる積み方で、
長方形の石を互い違いにした積み方です。

石垣の角に強度を持たせられるので、
櫓をギリギリまで建てることが可能になり、
死角を減らすことができました。

・谷積み(たにづみ)
方形の石を斜めに組んでいく積み方です。

目が通らないため、強度が高く、
崩れた石垣を補修した後に見られます。

この積み方は比較的新しく、1800年中期以降に見られます。

道路脇の岸壁工事などでも使われていて、
見覚えがあるかもしれません。

・亀甲積み(きっこうづみ)
六角形に整形した切り込み接ぎの積み方です。

ちょうど、亀の甲羅のような模様になるため、
この名が付きました。

方形の石に比べても目が通りにくく、
隣り合う石との接触面が増えるため、強度もあります。

時期としては江戸時代後期の城に、
一部使われています。

・笑い積み(わらいづみ)
大きな石と小さな石を使って積んだとき、
大きな石が口を空けて笑ったように見立てた積み方です。

大阪城の石垣には、巨石(に見える)を使った
笑い積みが散見できます。

谷積みや亀甲積みは、時代が下がって見られる
積み方ですが、どういった経緯で
発展していったんでしょうか?

1800年中期といえば、城はすでに成熟期を終え、
幕末に向かっています。

城も、長い年月の地震などで傷んでいたことでしょう。

なんとなく、世の中の雰囲気が変わってきた時代なので、
城を早く修築したいと考えたとしたら。

てっとり早く、石垣が崩れないよう補修し、
強度を高めるための積み方と考えたほうが
よさそうですね。

まとめ

加工石には、2種類の加工方法があります。
角を打込み、処理した石と、
表面を石切りノミで処理した石です。

それぞれの加工石をつかった積み方を、
打込み接ぎ(きりこみはぎ)、
切り込み接ぎ(うちこみはぎ)といいました。

そこから大別して、布積み(ぬのづみ)と
乱積み(らんづみ)に分けられます。

乱積みにも、複数の呼び名が存在し、

外観によって次のように呼ばれます。
・算木積み(さんづみ)
・谷積み(たにづみ)
・亀甲積み(きっこうづみ)
・笑い積み(わらいづみ)

たくさんの呼び名があって、覚えるのは大変ですが、
石に表情があるみたいで、眺めるのが楽しくなると思いますよ。

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