国宝・犬山城の特徴や歴史は?

犬山城
国宝に指定されている五つの城の一つ、犬山城です。

同じ国宝として登録されている”白鷺城”こと姫路城や、
五層天守の松本城などと比べると、
ちょっと見劣りしてしまいそうですよね。

でも、そこはやはり国宝です。
犬山城ならではの魅力があります。

木曽川沿いにそびえる国宝犬山城の魅力や見どころとは、
いったいどこなのでしょうか?

犬山城の構造は?

犬山城は、高さ約88mの、
木曽川沿いの丘に築かれた城です。

丘の北西側に木曽川が流れ、
北東側も木曽川にそそぐ小さな川があり、
水堀の役割を果たしています。

縄張りは、木曽川に一番近い奥に本丸を配置し、
その南に”縦の丸”があります。
縦の丸の東側に、大手道を挟んで”杉の丸”があり、
その南に”桐の丸”、そのさらに南に”松の丸”が連なります。

松の丸は横に広く、麓の二の丸に面しています。

大手道は、本丸から”縦の丸”に沿って、
逆L字に曲がるように、麓の二の丸に出ます。

二の丸は麓の平地を利用して整備され、
川の水を引き込んだ水堀で囲まれていました。

二の丸の南には大手門があり、
外枡形で守られていました。

二の丸の外には、さらに町を囲う惣曲輪があり、
城の防御を高めています。

大手道は、二の丸から一本道で本丸にたどり着けるので、
一見すると単純な構造で、守備には弱く感じられますね。

ですが、ここに犬山城の守備の要があります。

まず、大手道は、縦の丸に沿って曲がっていて、
見通しを悪くしています。

寄せ手にしてみれば、曲がった先が分からないのは
精神的に大きな負担があるんですよね。

さらに、大手道は各曲輪が挟んでいるので、
常に守備側から狙えるようになっています。

極め付けは、大手道を通っていくには
5の門を通り抜けなければならないように
なっていました。

一本道の大手だからと攻め上っていくと、
それぞれの門で足止めされて、
つねに曲輪から攻撃を受けてしまいます。

小さな丘に造られていても、
少数の守備でも寄せ手にダメージを
与えられるようになっているですね。

最期の砦でもある天守も、
実戦的な作りになっています。

天守の構造は、三層四階、地下2階で、
最下層に対して最上層の逓減率が高い、
前期望楼型”の天守に分類されます。

その入り口の脇には、付櫓が作られ、
寄せ手が天守に入ろうとすると、
横矢をかけられるようになっています。

まさに、実戦を意識した城でした。


犬山城

犬山城築城物語

犬山城は、1537年(天文6年)に織田信長の
叔父にあたる、織田信康(おだ のぶやす)によって、
現在の場所に築城されました。

このころの天守は三層目の望楼はなく、
大きな御殿のような建物だったんですね。

その後、三層目の望楼が増築されたのが、
1596年(文禄4年)で、豊臣秀吉の配下であった
石川貞清(光吉)によるものでした。

貞清は、関ヶ原の戦いにおいて西軍につきましたが、
戦場へ出向いたため、犬山城が攻められることは
ありませんでした。

敗軍の将となった貞清でしたが、池田輝政の嘆願と、
関ヶ原の合戦に参戦するまえに、
人質を解放したことなどが認められ、助命されます。

その後、商人となり、成功を治めたようです。

徳川幕府の時代には、成瀬正成(なるせまさなり)
尾張の付家老として犬山城に入りました。

正成は1617年(元和3年)に、
天守の三層目正面にある”唐破風”の出窓を増設し、
現在に残る天守の姿を完成させました。

江戸時代を通して、成瀬氏は犬山城の城主でしたが、
明治を迎え、廃城になります。

ところが、明治28年(1895年)に、
修築を条件に、もと城主の成瀬氏に下げ渡され、
残されることになりました。

犬山城は平成16年まで成瀬氏が代々受け継いで、
個人所有の城でした。

しかし、維持には大規模なお金も必要となります。

そこで犬山城を管理する法人を設立し、
所有権を譲ったのです。

現在、二の丸は市街地化されていて、
道路の形がわずかに水堀の名残を残しているだけです。

松の丸、桐の丸などは針鋼神社や
三光稲荷神社の敷地になっています。

大手道は当時のままの形状を残していますし、
主郭の縄張りは、ほとんど残っているので、
犬山城を訪れたときには、
天守以外のところにも目を配るといいでしょう。

まとめ

国宝の犬山城は、古い形式をもつ天守で、
織田信長の叔父にあたる
信康(のぶやす)が築城した城です。

羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)と
織田信雄・徳川家康連合軍が戦った、
小牧・長久手の戦いでは、豊臣軍の拠点にもなりました。

木曽川沿いの小高い丘に、単純ながらも、
少数の兵でも守られるように考えられた城です。

現在に見られる三層の城になったのは、
江戸時代ですが、信康が建てた屋敷の上に望楼を載せた、
比較的古い形式の天守、前期望楼型天守として、
貴重な天守です。

城を訪れるには、近くの”丸の内緑地”の隣に、
有料駐車場があるほか、
城まで徒歩10分の距離に、無料駐車場があり、
訪れやすい城です。

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