石垣の技術はいまでも使われている?

高速道路の橋脚

近代城郭には、石垣が欠かせないですよね。

縄張りいっぱいに櫓や天守を建てるために、
高さや角度をあげる技術が発達してきましたが、
それと同時にみごとな石組みの風景を作り上げました。

長い年月、なかなか崩れないっていうのも、
高い技術のおかげなんでしょう。

しかし、最近まで、その強度を数値に
置き換えて実証することができなかったために、
城の改修や補修工事でしか使われることが
なかったんですが、ある工事をきっかけに、
見直されることになったそうです。

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とある擁壁工事で実証された穴太積み

現代に通用する石垣として、注目を集めたのが、
東海自然歩道沿いの擁壁工事です。

この工事、ただの擁壁工事ではなく、
新名神高速道路が絡んでいることで、
圧力試験を行うなど、慎重に進められた工事でした。

工事を請け負ったのは、穴太積みの伝統技法
今に伝える建設工事会社です。

この会社は、正当な穴太衆の後継者が
代々継いでいるというから驚きです。

穴太積みは、石垣のなかでも
”野面積み”と呼ばれる自然石を使った石垣が有名で、
織田信長(おだのぶなが)が築いた、
安土城(あづちじょう)の石垣を手掛けた集団として、
一躍有名になりました。

とはいえ、今では”打込み接ぎ(うちこみはぎ)”
と呼ばれる加工石を使った石垣も手掛けています。

高速道路は大型の車両も絶え間なく行き来するため、
荷重だけでなはく、振動もかなりあります。

そこで、石垣のように、石の間に
コンクリートなどの詰め物をしない
空積み(からづみ)は、安全上の問題
許可が必要でした。

そんな手間をかけてまで、
穴太積みを採用した背景には、理由がありました。

穴太積みが施された場所は、
東海自然歩道が通る場所で、高速道路を通した関係上、
コースを変更しなければなりませんでした。

しかし、これまでのようなコンクリート擁壁で
整備しては、せっかくの自然歩道も台無し。

穴太積みなら景観もよく、
さらに工事で排出される石を石垣に転用できます。

しかし、問題は強度です。

そこで、京都大学大学院などの協力を得て、
コンクリート擁壁との比較試験を行っています。

この実験、双方共に高さ3.5m、幅8mの
実験体を造り、上部と背部から圧力をかけたところ、
おどろきの結果がでています。

コンクリートブロックは、
200トンを超えたところでヒビが入り、
230トンで崩落寸前となって中止。

穴太積みの石垣は少しせり出したものの、
250トンかけても崩れることなく、
高い強度を実証しました。

これも、伝統の技術ならではなのでしょう。

この試験の以外にも、強度を裏付ける資料があります。

平成15年に作成された資料で、
近年に穴太積みで施工された石垣についての
ヒアリング調査です。

このヒアリング調査では、震度5以上の
大きな地震があった地区で、
穴太積みの石垣が崩れたことの有無を調査しています。

結果として1件も崩れたという報告はなく
(400年前の石垣が崩れたという報告はあるものの、
経年的な劣化)、安全性を補完するものでした。

そこまでして行った擁壁の石垣、
一度見に行ってみたいものです。

現代でも施工される穴太積み

城の石垣の補修工事はもちろんですが、
近代建築にも穴太積みを使った石垣がみられます。

滋賀県立大学環濠石積(彦根)
滋賀県琵琶湖環境研究センター(大津)
滋賀県の複合庁舍「ピアザ淡海(おうみ)」の玄関
京都国立博物館

海外でも、施工しているそうです。

アメリカ、オレゴン州、ポートランドのポートランド日本庭園
シアトルのクボタガーデン

石垣って、城址公園で見るものだと思ってましたが、
今でも需要があるんですね。

いつまでも継続してほしいです。

まとめ

近代城郭ではおなじみの石垣ですが、
いまは城址の補修でしか使われていないと
思っていました。

しかし、新名神高速道路の建設に伴って、
強度を実証する機会に恵まれます。

工事によって出る石は、廃材となるところを、
穴太積みを採用することで、自然歩道の擁壁になり、
景観の一部に生まれ変わりました。

コンクリート壁よりも高い強度と安全性を実証した
穴太積みは、現在国内、海外問わず、施工されています。

自然の石を活かした穴太積みって、
あの不規則なんだけど、計算された積み方に
感慨を感じて良いんですよね。

これからもたくさんの場所でみることが
できるといいですね。

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